2014年7月22日火曜日

2014/9/5 朗読幻奏3【妄執】推薦文——東雅夫さんから

 スガダイロー、日比谷カタン、そして石井千鶴——京極夏彦によって、いみじくも「音ノ刃」と命名された朗読&演奏ユニットによる公演が、今年も所縁の地・深川で開催されるという。たんなる朗読とも演劇とも異なる独特なスタイルは、回を重ねるにつれて磨きがかかっている印象なのだが、今度はいかなる趣向と技倆を繰りだして、われわれ観客を驚嘆させてくれるものか、愉しみである。
文芸作品、しかも幻想と怪奇のそれに飽くまで拘る彼女らが今回、演目に選んだのは、泉鏡花と芥川龍之介という稀代の「お化け好き」師弟コンビの作品——「海神別荘」と「地獄変」だ。
 かたや「水」、かたや「火」の幻怪なイメージが全篇を浸す、まことに好対照な両作品が、音ノ刃マジックによって新たな生命を吹きこまれる様に注目したい。

東 雅夫(文芸評論家/アンソロジスト)

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