2013年6月25日火曜日

7/28【姫と鬼】推薦文-東雅夫さんから


今回に向けて推薦文を頂戴しました。
チラシの裏にも掲載していますが、こちらにも載せておきます。
光栄です。(千鶴)


 朗読ブームが続いている。特に最近顕著なのが、怪談文芸や幻想文学系の朗読である。石井千鶴、スガダイロー、日比谷カタンという異色のユニットによる朗読演奏会「泉鏡花ナイト」にもそうした流れの中で際会した。私には斯界の大先輩にあたるカマル社の桑原茂夫さんが縁結びであった。叩きつけるように囁くようにダイローのピアノが構築する「音場」で、千鶴の小鼓と少年のような声が、カタンのギターと妖女のごとき声が、文豪鏡花の変幻きわまりなき言語魔界をたいそう鮮やかに聴覚化し視覚化してゆく様を目の当たりさせられ呆然陶然。鏡花作品の朗読には幾度も接している私にも未曾有の体験となった。そんなトリオに今回は、京極夏彦の作品と客演が加わるという。〈姫〉と〈鬼〉たちが織りなす幻妖のステージに、興趣は高まるばかり也。         
                                  東雅夫